【保存版】ひよこの育て方①
4回目の人工孵化
今回は今までの経験をフルに活用して、保存版として残せるクオリティの記事と動画にしたいと思っています
人工孵化、育雛、小屋に移すまで
全力でやります
①人工孵化の心構え
雛を生き残らせる
これが人工孵化における心構えです
自然孵化では仮に母鶏が雛を死なせたとしても、それは母鶏や鶏社会の学びになるので無駄ではありません
寒い時期に生まれれば凍死する
温かい時期だと蛇やカラスに襲われる
沢山孵れば母鶏に踏み潰される
少なく孵れば雛同士で温め合えず凍死する
色んな理由で死にます
しかし、ヒナの死を肯定するわけではありませんが、受け入れるのが自然孵化だと考えています
しかし人工孵化は違います
母鶏と人の違い、外と屋内の違いをよく理解し、自然孵化と人工孵化は全くの別物として扱う必要があります
自然孵化の延長として考えるのはヒナの死に繋がります
絶対に死なせない
絶対に生き残らせる
何が何でも生き延びさせる
これが人工孵化の心構えです
②自然孵化と人工孵化の違い

品種や育て方によって違いは増減しますが
一般的に大きな違いは3つです
①食事
②床
③育て親
①食事の違い
生まれたばかりの雛は何を食べるのでしょうか?
卵黄の栄養がお腹にあるので「3日間飲まず食わずで平気」と言われています(実際平気です)
しかし卵から孵って、毛が乾く数時間後には食べ始める個体もいます
一般的には最初からひよこフードを与えます
家畜改良センターでは「ひよこフードに水を含ませて食べやすくする」そうです

ひよこフードを含め、売ってる鶏用のエサは基本的に乾燥しているので、しっとりさせたほうが食べやすいのでしょう
では外で自然孵化したヒヨコは何を食べているのでしょうか?
土と卵の殻を食べてます

これは撮影してて気付いたことですが、初めて知ったときはメチャクチャ驚きましたね!
まず、母鶏がひよこが孵って割れた卵の殻を食べます
このときに殻を細かく砕いて「これ食べらるのよ~」と教えながら母鶏が食べ、母鶏を真似してひよこも殻を食べるのです
土も同様に食べます
土の細かい部分、枯れ葉、ちっちゃい小石など色々口に入れます
ウチはお米をあげてるので、巣箱の床に転がってるお米を生後24時間くらいで食べたりもします
ひよこは母鶏と一緒に行動するので、母鶏が動き出す生後2日〜3日後に母鶏の飲み方見て覚えて飲むようになります
人工孵化で使用するひよこの餌は完全に乾燥しているので、水を飲まないと「そのう」などに詰まらせて死んだり、嘴の裏側に張り付いてカビが発生して死んだりもします
ひよこフードは水を頻繁に飲まないと死にます
私がひよこフードで飼ってたときは1~2時間毎に食事&水飲みタイムがあって、1日に10回以上、欠かさず水を飲んでました
自然孵化の場合は食べてるものが米、草、土、虫と水分を含んでるものばかりだからか、1日に数回しか水を飲んでませんでした
あと、ひよこの時代に「食べられる物の判断基準」が出来上がります
ひよこフードばかり食べて育った鶏を外で放し飼いしてエサを粗飼料にすると脚気になったりします(ウチの福がそうでした)
理由は土や枯れ葉をあまり食べないからです
虫や葉っぱは大体の鶏がいつでも好きなんですけど、ひよこフードで育った鶏のほうが食べる葉っぱの種類や固さの範囲が狭いです
せっかく自家配合飼料で色々なものを入れても、小さい時から「何でも食べる」って癖を付けておかないと食べてもらえないんですよね
小さい時から土食って育ったウチの鶏は、お米しか与えてませんが元気に動き回って卵も産んでます

②床の違い

個人の場合は籾殻やダンボール、新聞紙が多いです
成長したらスノコや金網にして、糞を踏ませないようにする人もいるようです
養鶏場だとツルッとしたコンクリート?とかシートの上にブワーっとひよこがいる画像が多いですね
コンクリートやシートは床に餌をばらまけますが、籾殻は混ざっちゃって微妙でした
草は目立つんですけど、ひよこフードや米は籾殻と色が似てるので、ひよこたちが見つけにくく、おまけに籾殻より重いお米や細かい粉は下に沈殿してしまいます
しかし籾殻の断熱性は素晴らしいし、精米所で簡単に手に入るし、そのまま畑に撒けば「籾殻&鶏糞」だし、鶏の足は汚れないし、メリットは沢山あります
ダンボールとかは餌が見やすいけど、床が滑るし足が冷えるのがデメリットですね
タオルを敷いてフカフカにする人もいます
自然孵化はもちろん土です

正直、冷たいです
冬場は0度近いと思います
デメリットは冷たいので凍死のリスクが高まる、泥が爪に絡まって団子になって歩きづらくなることがある
メリットは床全部エサってことと、ひよこがよく動くってことですね
いつでもつまめるおつまみが床一面にある状態
そして鶏にとって良い、大事な何かが沢山含まれています
以前、籾殻の床で育てていたヒナが軟便になった時、土を食べさせたら治ったことがありました
土は食物繊維や発酵菌が豊富に含まれてますし、人にとっての納豆やヨーグルトのような、健康に良いのだと思います
また土は掘ったら違う土が出てくるし、小石や枯れ葉、たまに虫というお宝が出てきたり、暇しないようでしょっちゅう足で掻いたりつついたりしてます

外で飼うなら害獣には要注意です!
蛇、カラス、イタチなど、ひよこを狙う外敵は沢山いて、なんとか小屋に侵入しようとしてきますので対策は万全に万全を重ねる必要があります
③育て親の違い
母鶏というのは「24時間、ひよこと一緒にいられる保温機能付きの鶏に詳しい人」みたいなものです
ヒナと会話かできて、似てる姿でお手本になれて、虫を見つけるのも上手で、ずっとヒナのそばにいられて、いつでもヒナを温めることができる
ヒト一人では物理的に太刀打ちできない相手なので、我々は保温機と人間の知恵で母鶏の代わりを勤め上げる必要があります
母鶏の役目はなにか?
ちょっと回りくどいんですけど、一緒に確認していきましょー!
細かく言うと非常に多岐にわたりますが
「ヒナを無事に育てあげる」
本質的にはこれです
なので無事に育てあげるために必要なことを行えばよいわけです
理想の鶏像、「こんな鶏に育ってほしい」を追い求めるのではなく、基本の心構え「何が何でも生き残らせる」を胸に考えていきます
まずは死ぬ要因を確認しときます
害獣に襲われるとか成鶏に踏み潰されるとか生まれながらに奇形、腸詰まり、病気持ち以外のヒナの死因は「内臓が動かなくなる」一択です
内臓が動かなくなる要因は2つ
①寒さで低体温になって
②体重が増えず低体温になって
こんな感じです
①寒さで低体温になって死ぬ
ヒナは体温調整ができません
当たり前ですが寒すぎると死にます
自然孵化の場合は母鶏が根気よくかつ丁寧かつスパルタにヒナを外気にさらすので真冬でも2週間もすれば日中は母鶏の保温無しで動き回れるようになります
体温調整が出来るようになるまで、人工孵化の場合は生後約二ヶ月かかります
体重が200gを超え、羽も生え変わった頃にようやく自分で体温調整ができるようになります
体温調節が出来ないうちは20℃とかでも死にます
理由は食事と消化と体温上昇が密接に関わっているからです
食事をする
↓
保温体勢に入って消化
(この時に体温が上昇する)
↓
排泄
↓
空腹感
↓
食事をする
ヒナはこのサイクルをひたすら繰り返します
ポイントは
・内臓が動かないと体温が上がらない
・胃にものを入れないと内臓が動かない
ということです
寒すぎると身体の成長に使うエネルギーまで体温の維持に使ってしまいます
それでも身体は成長しようとし、無いものを生み出すためにヒナ自身の骨や筋肉を毛の生え変わりなどエネルギーに使い始めます
体温を上げる筋肉や内臓を動かす筋肉、エサをついばむ筋肉、立ち続ける筋肉が奪われ、いずれ死にいたります
体温の維持にエネルギーを使わなくていいようケース内は30~40℃を保ちます
保温器は2つ用意して、1つをサーモスタットに繋いで暑くなったら電源が切れるようにしておきます
設定温度は36℃、センサーは保温器のある場所から1番離れた所、床の少し上(ヒナの高さ)を測るようにします
②の体重が増えなくて死ぬ
これも①と同じような感じです
身体の成長に必要なエネルギーを得られないと自らの肉体を分解し始めて、衰弱していきます
採卵鶏にカルシウムを与えないと、自分の骨を分解して卵の殻のカルシウムに当てて卵を生み続けるので骨粗鬆症になるのも同じこと
筋トレして筋肥大させたくても、摂取カロリーより消費カロリーの方が大きければ筋肉がしぼんでいくのも同じ原理
足りてるかどうかは体重を計って、増えてればオッケーです
重要なのはタンパク質とカルシウム
筋肉が付き、骨が成長することで体重が増えます
ヒナは代謝が早く、30分おきくらいでウンチをします
当然、食べたものが全て成長に使われるわけがなく、吸収できず排泄される栄養も沢山あります
口も身体も小さいヒナですが、生きてるだけで使う栄養+成長に使う栄養+吸収されない栄養を毎日摂取しないと体重が増えないわけです
③運動が足りなくて死ぬ
運動が足りないと衰弱死します
ヒナにとっての運動は鳴く、歩く、消化の3つです
鳴く運動をさせるためにヒナとスキンシップをとりましょう
背中を突くと「褒めてる」意味なので背中をつついたり、優しく握り込んだり、とにかくヒナと接してください
手を親と認識させ、手をケースに入れてないとヒナが鳴くような状況を作りましょう
ちょっと可哀想に感じるかもしれませんが、ヒナを死なせないために、運動させるために必要なことです
自然孵化では母鶏はまずヒナに鳴かせます
鳴かないヒナは強めに突いたり、ひっくり返して腹を突いたりして無理矢理にでも鳴かせます
小さい体で大きな鳴き声を出すことは非常に大変で、筋肉を使いますし内臓も動きます
人間もロングブレスダイエットというのがありますが、絶えず大声で鳴くことが1番の運動になります
この3つがヒナの死につながるので、これらを回避する必要があります