初めての狩猟
これは2021年12月に鹿を獲った話
捌いてるところとか載せてるのでグロいのが嫌な人は見ないでください
2021年1月に「わな」と「第1種猟銃」の狩猟試験を受けて「わな」のみ合格した
11月に狩猟者登録をして猟友会に入会
(第1種猟銃も再受験して合格しました)
わな購入
イノホイで「くくりわな」を3個購入した
(4個買って送料無料にすればよかったと後悔している)
箱がペコってなってたけど中は無事
油抜きをする、匂いを消す効果
クルミの葉や枝を入れた水に2週間つけこむ
これについては効果があったのか分からない
お湯で煮ると目に見えて油が浮いてくるけど、この方法では浮いてこなかった
しかし草の匂いが付いて、ワイヤーが少し茶色くなった
わなを仕掛ける
最初に選んだのは近所の木と木の間
(2箇所目でかかります)
地面になんとなく一本のスジが見えたので「獣が通ったのかな?」と考えて3個仕掛けました
3個中2個は餌を罠の後ろに置く
1個は「小林式」で罠の周りに障害物、障害物の周りに餌を置く「3層構造」で仕掛けました
しかし2週間経ってもかからず
わなの場所変更
「このまま待つか、場所を変えるか」悩んでいる時に狩猟経験者のフォロワーさんから助言をいただきました
とおってるけど、かよってない
餌でおびき寄せるにしても「かよってる道」が近くにないとダメなようです
なんとなく「とおった道」ではほとんどかからないということですね
自宅の周りを捜索して獣の痕跡を探しました
(家の近くの方が見回りも、かかった後もが楽だからです)
ご近所さんの裏庭で鹿の糞を発見しました
糞の鮮度の基準は
超カラカラ→昔の
超カラカラではない→最近の
カラカラでもツヤがある→ごく最近の
写真のはツヤがあるっぽいので「ごく最近の」と判断
裏庭には他にもポツポツあったので「毎日のようにかよってる」と判断
仕掛けます
ススキに仕掛ける
家の近くの木を支柱に仕掛けることはできません
暴れた獣が家に突っ込む可能性があります
ワイヤー約3m+獣の体長2m
支柱から半径5mが行動範囲(広い)
この範囲に家があってはいけないのでススキにかけることにしました
↓こちらは小林式で掲載されているススキにかける方法
これはまだ青い時期ですね
当時は12月で枯れていましたが、逆に上が広がっていたので根元にグルっと巻いて締まるようにしました
2箇所セット、両方とも「小林式」です
鹿、かかる
8日後、かかってました
さて、ここからは実際に起こったこと、感じたことをありのまま載せます
嫌悪感がある人はお戻りください
発見したのは朝8時、地区の行事の準備に行く直前でした
私が一番の若造で、直前で欠席するのも心証が悪いので準備に参加
40分後に戻ってきました
「さて、どうしよう」というのが正直な感想
心のどこかで「かからない」とでも思っていたのか、実際に目の当たりにして困惑していました
わなは後ろ足にかかっていました
下り坂で逃げようともがいているので、後ろ足が千切れて逃げる可能性がある
わなにかかった獲物を逃がしてはいけない
時間がない
やるしかない
軽くパニックになりながら5mくらいの単管パイプを持ってきました
近づくのが怖かった
鹿はコチラを見たり、逃げようともがいたりしている
長いパイプを振り上げる
鹿は弱者だった
私と争う気もない、戦う意思もない
逃げようと必死な弱者で
私は、戦う意思のない弱者を殺そうとしていた
戸惑う身体をむりやり動かしてパイプを振り下ろす
外した
2度目
背中に当たった
「ウエェェェェ!!」みたいな、苦しそうな痛そうな鳴き声を上げた
もう本当に嫌になった
人を殴ったとこは無いけど、人かと思った
すごく嫌な気分になった
首に当たる、痛そうな声を出して伏せた
鹿の動きが止まる
下り坂で伏せたので長いパイプでは殴れない
短いパイプとロープを持ってくる
距離が近くなって動かれたら怖いのでロープで足を固定しようと思った
しかし足にかけるにはもっと近づかなくてはならない
仕方なく首にかける
動く獣に対する首が締まらないロープのかけ方なんて知らないので引っ張れば普通に締まる
それを近くの木に固定する
これで鹿の姿勢を制限できた
短い単管パイプを持って近づいて殴る
狙いやすい首を殴るが頭を上下にバウンドさせて痛がるだけで気絶はしない
頭を狙う、頭頂部に当たったが痛がるだけ
耳のすぐ後ろの後頭部に当たる
全身が跳ねて横倒しになる
止め差しするチャンスだ
新品の15cmの牛刀を手に近づく
目は開いていた
昏倒から起きたらどうしようとびくびくしながら近づく
心臓は両前足の間で右足寄り
↓止め差しはコチラを参考にしました
その少し上を前から(首側)から突き刺す
骨に阻まれる
少しずらして再度突き刺す
入った
血管を切るように一度手首を動かしてから引き抜く
血がドバっと出た
動画の真似をして前足を握る、たまに振る
手足ががくがく震えた
申し訳ない気持ちでいっぱいだった
言葉にできない、「申し訳ない気持ち」でいっぱいだった
数分で「絶対に無駄にしない」という気持ちが湧いてきた
足を震わせて血抜きをしながらスマホで捌き方を復習した
15分くらい放血したかな
上に引き上げようと思ったけど重くて持ち上げられなかった
美味しく食べるには内臓の摘出と体温を下げることが急務
持ち上げられないなら下るしかない
わなを外して鹿の後ろ足を持って引きずりながら急斜面を下る
鹿の頭が色んな所に当たって、これも申し訳なかった
下には細い小川が流れていたのでこれに漬ける
内臓を取り出す
セオリー通り?皮を剥いでから内臓を取り出そう足の皮を剥き出す
しかし全然遅いので皮剝ぎを中断して内臓摘出に移行
止め差し付近から中心を後ろ足あたりまでまっすぐ切る
中はメッチャ温かかった
ただ、どこを切ればいいのか全然わからない
「とにかく上の方を切るんだ」
上の方をまさぐってなんとなく首当たりのスジのようなものを手探りで切る
運よく食道だったようで上の方がズルっと取れる
心臓が付いていたのをみて「たぶん正しい」と安心した
次に下
わからん、全然わからない
わからないのでとりあえず適当に切って内臓をとりだした
(正しくは肛門をグルっと1周くりぬいて、肛門ごと抜き取る)
鹿の中に川の水をバシャバシャかける、少しでも冷ましたい一心だった
取り出した内臓
中央は内臓脂肪
上はたしか肺、右上がハツ(心臓)、ハツの奥にレバー
左のデカいのが胃
中央と胃の間の小さい黒いのがマメ(腎臓)
その他が腸とか
食べられるハツ、マメ、レバーを切り取る
ハツは半分に割って中の血もしっかり洗う
半日~1日、川に沈める
すぐに捌いて新鮮な肉を食べると美味しいんだ!は勘違い
勘違いじゃないかもしれないけど、この場では間違いでした
9時に放血して、10時に内臓を出して
12時、勘違いしたまま皮を剥いでるところに電話がありまして「美味しいお肉が食べたいなら半日から1日、川に沈めてください」とのこと
全身を水に漬けることで冷却と血抜きをする
本当にありがたかった
ここで肛門をくりぬく事を知りました、本来は内臓を取る時にやるべき工程でした
軽トラに乗せて川に沈めたのが13時
ご近所さんに運搬を手伝ってもらいました(おろしてるのは私)
護岸工事?のためほぼ直角の坂を4mほど降りなければならず、どうあがいても鹿をかついで降りられないので鹿を橋から吊っておろすことにしました
足をくくって、橋に1周巻いてゆっくりおろしていきます
最初はちょっと浅い急流の所に丸太を使って沈める方法でした
これだと全体が沈まないので深い所に移動させて、おなかに石を入れて沈めることにしました
流れないようローブでつないで1日待ちます
この時は足をくくっていましたが、捌きやすさを考えると首がまっすぐの状態で死後硬直して欲しいので首をくくるなり、とにかく首がまっすぐの方が後が捌きやすいです
食べない内臓は埋めました
内臓をいただく
解体まで猶予が出来たので内臓をいただきます
レバーから延々と血が出るので川に運んでる間、3時間ほどずっと流水に漬けてましたがレバーの血はまだまだ抜けてませんでした
ハツがやはり一番美味しい
マメはレバーとハツのあいのこのような味、まぁまぁ美味しい
レバーは血の味がしっかりしたレバー味、正直微妙
残りのハツとマメは真空パックして保存
レバーはレバーペーストにして頂く
帰って包丁をしっかり研いでおく
解体
翌朝、大寒波のおかげでしっかり寒いけど快晴でした
工程は
①皮剝ぎ
②前足
③背ロース
④後ろ足
⑤バラ肉&胸肉
寒いので軍手と厚手のゴム手袋で作業します
吊った方がキレイに剥げるし、自分の姿勢も楽です
中途半端に皮を剥いだので汚れが付着してます
しっかり冬だからか皮下脂肪が凄い
あとブヨブヨしたのが凄い、ヌルヌルする
皮剥ぎ完了、皮を剥いだばかりの所はキレイ
前足は付け根からあばらに沿って背ロースまで
背ロースをなるべく傷つけない方が良い
背ロース、写真撮ってなかった…
背中に2本、首から腰まで、背骨に沿って包丁を入れて黄色っぽい筋を2本取る、動画ではこれも保管していたのでたぶん食べられるやつ
横から包丁入れて背ロースを切り離す
上は後頭部の少し下まで、下は腰あたりまで
そして後ろ足
これ外すのめっちゃ大変、構造が複雑
肉がズタズタになるから余計な包丁を入れたくないんだけど、どこ刺しても骨があるから色々切ってしまった…
最後にハラと胸肉
あばらに沿って切り取る
先端が丸い包丁があると削ぎやすい
よく分からない横隔膜?のようなものも取った
頭はご近所さんにあげるので外した、頭の骨が欲しいとのこと
洗浄、切り分け
ヌルヌル、血、汚れの除去と可食部の切り分けを行う
わなにかかっていた左後ろ足
付け根の部分に血がこびりついてた、脱臼していたのだろうか…
足先が千切れなくても目に見えないケガを負わせている可能性があることを学んだ
罠にかけたからには速やかに昏倒・止め差しを行うのが鹿の苦痛を減らす助けになるようだ
食べるお肉、15kgくらい
食べないお肉と骨、鶏にあげて畑の肥料になる
脂肪は保湿クリームに加工した
生ハム用の足3本、前足2本と後ろ足1本
初めての解体に時間がかかりすぎて足を捌けなかった
骨、鶏にあげた、怖がることなく群がって食べてた
毛皮
マダニに注意が必要
必死過ぎて全然気にしてなかったし気になるほどいなかったけど、後になってダニを発見して思い出した
そもそも冬は少ないけど、ダニは水に1週間つけても死なないし洗剤で洗っても死なない、寒いと冬眠するらしいし、天日にあててもほぼ死なないので夏は当然のこと冬も十分に注意が必要
家族を守る為にも服装と獣の取り扱いには今後気を付けようと思う
終わりに
最後まで読んでくださってありがとうございます!
今回の「初めての狩猟」を通して感じたことをまとめました
・狩猟は野蛮な行為
シカは人を襲わないしイノシシや熊も好戦的ではないので、狩猟は弱者に対する一方的な殺生である
・捕獲後は正しい手順で価値を下げずにいただく
今回は中途半端な皮剝ぎ、横倒しでの解体と、獣の価値を下げてしまう行為をしてしまった
次回は仕留めて放血したら以下の手順を守って、なるべく価値を下げないようにしたい
①肛門をくりぬく
②お腹だけ開く(胸は開かない、ダニがいるならバーナーで炙る)
③内臓を取り出す
④川に1日つける
⑤吊って解体する
・自分で処理しきれない狩猟はしない
命を大切に頂くことができない狩猟はしたくない
夏に狩猟するなら業務用冷凍庫は必須
・持ち運びできる吊る道具を用意する
・ロープをもう2本買う(計3本)
8mくらい?のロープ1本だとオスの鹿やイノシシがかかった時に心許ない
・イノシシ用鼻くくりと槍を自作する
イノシシは鼻をくくって固定し、更に足をロープで引っ張って倒して固定してから長い槍で首の頸動脈を切るらしいので、その準備を整える
・レバーは薄切りにして血抜きする
4等分じゃ足りない、もっと薄くスライスして血を抜かないと血の味が強すぎて美味しく食べられない
・マメ(腎臓)も半分に切って血抜きする
・ダニ対策、使い捨てのツナギがあると良いかも
・各素材の活用法を身に着けたい
「捨てるところゼロ」が目標
以上です
また後で付け足すかもしれません
初めての狩猟が猟銃じゃなくて本当に良かった
猟銃だと気付けない事が気付けた気がする
ハツとマメは焼肉、レバーはレバーペーストに
肉はカレー、焼肉、しぐれ煮、ジャーキー、生ハム
脂は保湿クリーム
毛皮はなめし中
でっかい骨は鶏に
食べない内臓は山に埋めました
狩猟をどこまで続けるかは分かりませんが、しばらく狩猟と向き合っていきたいと思います
ありがとうございました!
↓執筆中です
→鹿ジャーキーの作り方
→鹿革のタンニンなめし
カレーも美味しかったです